森田療法の特徴

森田療法の特徴
1.神経症の専門療法である。(神経症にしか効かない)
2.現実的・実践的な治療法である。(イメージ療法ではない)
3.患者は主体的・自己責任で選択していく存在。(患者は過去の被害者ではない)

森田療法とは、精神科医の森田正馬(1874~1938)によって大正から昭和初期に創始され、その後継者であった高良武久らによって発展した神経症の治療法です。
現在まで約80年ほど継続されてきた治療実績があります。

対象となる神経症は、不安神経症、対人恐怖症、強迫観念症などです。
これらの神経症では、患者さんは、自分の症状を取り除こうとしてかえって症状に意識を向けてしまい、悪循環に陥っています。また、症状のために行動が制限され、例えば、不安神経症の人では、電車に乗れないとか、遠出ができないとか、生活が萎縮してしまいます。
そこで森田療法では、症状をそのままにして、まずその人の生活を改善していきます。

不安神経症の人であれば、不安を完全になくしてから行動するのではなく、例えば、「仕事にいかなくてはいけない」「もっと積極的な生活をしたい」などの本来の現実的な欲求や向上心にそって、不安をあるがままにして、行動を変えて行くようにその人をサポートして行きます。

このように、森田療法は、他の精神療法に比べて、より実際的・行動的なものです。
例えていえば、精神分析療法やそれから派生したさまざまな治療法が、症状の意味を患者さんの精神内界で問う「イメージ療法」だとすれば、森田療法は症状に対する患者さんの姿勢を現実の中で変えて行く「現実療法」なのです。

したがって、森田療法において、神経症の症状は、過去の生育歴や家族関係によって生じているものではなく、人間には誰にでもある不安のあらわれに過ぎません。
また、患者さんは過去の親子関係や精神外傷の被害者ではなく、
今ここで、自分の生き方や生活を自己責任において選択し実践していく存在です。